manami

パワーズ・オブ・テンのmanamiのレビュー・感想・評価

パワーズ・オブ・テン(1968年製作の映画)
-
チャールズ・イームズ監督の短編。イームズ、そう、あのイームズ。映像まで作ってたとは知らなかったわ。しかも面白い!才能豊かすぎるわ!
シカゴの湖畔でピクニックをしている男性を真上から捉えていたカメラがどんどん遠ざかる。あっという間に地球を飛び出す。ついには銀河系すら見えない、10の24乗倍、地球から1億光年の漆黒へと到達する。
「視界限界。孤独な世界。銀河も塵のごとく。本当の宇宙とはこんなものなのだ。この空虚さはむしろ正常と言うべきだろう。むしろたくさんの物たちに囲まれた、我々の世界が例外なのだ」
するとカメラはピクニック中の男性まで戻り、今度は細胞の中へと潜り込んでいく。DNAとか、電子とか原子とか陽子とか、量子運動とか、クォークとか、私には何が何やらちんぷんかんぷんだけど、とにかくなんだかもの凄い映像が続いていく。ナレーションにもある通り、炭素の原子核に向かう道中が、数秒前まで観ていた宇宙の姿と似ている、と言うか同じと言っていいほどで、まさに神秘。やがて10の−15乗倍の世界へと辿り着く。
宇宙への旅路で感じる「遥か彼方」よりも、体内へのダイブの方が、なんだかそら恐ろしい気がする。ミクロの世界は自分の内にもあるというのに不思議だ。
山添くんが借りてきて、藤沢さんも足湯に浸かりながら見ていたあの本。の、元になった映像。ここにも「すべて」がある。

29(1739)
manami

manami