OASIS

グレート・ビューティー/追憶のローマのOASISのレビュー・感想・評価

2.8
セレブ界の騒がしさに飽き飽きした初老のジャーナリストが、ある女性の死をきっかけにローマの街を歩きながら人生を見つめ直していくという話。
監督は「きっと、ここが帰る場所」のパオロ・ソレンティーノ。

こういった映画を手放しで褒め称えると「わかってる」感が醸し出せていいのだろうけど、楽しむ為の教養や知識が皆無な自分からすればどこを見所としていいのかが分からなかった。
確かにローマの風景や主人公が目を閉じて入り込む幻想世界の描写は美しいとは思ったのだが、合間合間に挟まれる現実世界のパートで描かれるエピソードが意味不明レベル。

「想像は誰彼問わず可能な旅である」という事をはじめに言っているので、元恋人を無くした主人公がかつての彼女に頭の中で想いを巡らす話がメインになるかと思えばそうでもなく、同業者とのとりとめの無い会話やストリップ鑑賞など意外と下衆な日常を見せられたりして、現実逃避したいのか留まりたいのかあやふやな気がした。
いっそのこと、これは全て頭の中ですと言い切ってCGバリバリの景色を見せてくれた方が清々しいとさえ思う。

上流階級と呼ばれる様な人達でも乱痴気騒ぎで馬鹿みたいに羽目を外している姿は滑稽なんだけど、それを同じく嘲笑気味に見ている主人公が観客達の気持ちを代弁してくれているようにも感じる。
だが、主人公も行きずりの女性とベッドを共にしたりするのでやはりそっちの世界の人間なのかと。

しかしその後彼は「なんて無駄な事をしていたんだろう」と今までの人生を悔い始める。
この感覚は男性なら誰でも経験した事のある「賢者タイム」なのではないだろうか。
つまりは、一回抜いたらどうでも良くなって何を考えようが無駄、みたいな事を言ってるんじゃないか?
もしそうならこんなに共感出来る事は無い!
しまった。観る前にトイレにこもっておくべきだったか・・・。

まぁ100%そんな話では無いと思うが、ここまで感想を書くのが難しい作品は久々に観た。
後ろのおばちゃん二人組が一時間経った辺りからずっといびきをかいているのもおおいに分かる。

@シネマート心斎橋
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