YasujiOshiba

わたしは生きていけるのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

わたしは生きていける(2013年製作の映画)
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オープニングの色彩豊かな田園がよい。ちょっとオーバーなくらいの色の使い方が、作品の後編へのよい伏線になっている。そう。あれは短い夏の光だったんだよな。

シアーシャ・ローナンがよい。イギリスの片田舎で夏休みを過ごすことになった15歳のエリザベスを演じて秀逸。その神経質なふてくされぶりがよい。大人への閾をまたごうとする少女の危ういリアリティが、そのままま世界の危ういリアリティへと繋がってゆくわけだけだが、どうしても年末に見たばかりの『この世界の...』のすず=のん(能年玲奈)に重なってしまう。

個人的には『この世界の片隅で』の実写版を見つけたって感じた。『この世界の...』が過去の日常を丹念に描いて、今という時代の行く末を予言するようなアニメだったのに対して、この作品は、近未来の日常から「今をいかに生きるか How I live now 」を描き出す。

それにしても、ポスト・アポカリプス的な近未来は、何を見ても、もはやノスタルジーを感じさせるものでしかない。そんな時代にあって、「今をいかに生きればよいのか?」、つくづく考えさせられてしまった。
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