映像がとにかく綺麗で楽しかった。とくに海賊船が宙にふわっと浮かびあがるあの一瞬、美しさに息が止まった。
キャストも豪華で、どのキャラクターも魅力的すぎたなあ…(ほんの少ししか登場しなかったカーラ・デルヴィーニュの人魚もめっちゃ良かった)
クスッと笑ってしまうラストも良い。ここからあのピーターパンの物語までに何があったのか。もっと詳しく知りたいなあとも思うけれど、この終わり方も好き。いろいろと想像しちゃうね。
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もし、もしも、この冒険のすべてがピーターの空想なら…?
黒ひげの一味が子どもたちを連れ去ったあの夜からのすべてが、夢の話なら…?
と、少し考えてしまった。
過酷な現実を生きる副作用として、物語を生み出す、ということがあるように思う。
このあいだ、新訳版ナルニア国物語の解説で「世界大戦などの現世の惨禍から逃れたいとの欲望も相俟って、反近代的な要素を楽しむべくつくられたのがファンタジーである」と読んでちょっと泣いてしまったのを思い出した。
もしもすべてが、孤独な少年ピーターの生み出した世界なら…?と考えると、それはそれで切実なものがあるなあ。
もちろん、純粋な冒険ファンタジーとしても十分楽しめる作品だったけれど。
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「妖精を信じる」ということは「目に見えないものの存在を信じる」ということ。そしてそれは「ただ信じる」ということ。証明も理由もなく、無条件にただ。それはつまり「自分を信じる」ということなんだなあって。妖精やサンタを信じるってお話にいつも泣いてしまうのは、そういうことなのかもしれない。少なくとも、私がファンタジーを愛する理由のごく一部として。心から自分を信じれば、空だって飛べるのかもしれないね。
そろそろ本当にJ.M.バリの原作も読んでみよう。