あっきー

複製された男のあっきーのレビュー・感想・評価

複製された男(2013年製作の映画)
4.2
『DUNE』の公開も待ち遠しいドゥニ・ヴィルヌーブ監督作品。難解なことを覚悟の上で観始めたら、かなり好きな系統の作品だった。映像や語り口から、ドゥニ監督の作家性がほとばしるのと、主演ジェイク・ギレンホールの演技が見事。

主人公アダムは大学講師。同僚の紹介で観た映画の中に、自分と瓜二つの双子のような人物を発見し、取り憑かれたように調べ始める。身長・体重、声も全く同じその俳優に接近を試みるのだが…。

物語進行は『ブレードランナー2049』がそうであったようにスローなテンポに感じるが、上映時間は90分とコンパクト。じっくりとショットを積み重ねながら、主人公と同じような息苦しさを感じさせる撮影・編集術が見事。
二役を演じるジェイクは、衣装にそんなに違いがないキャラクターを、目の動かし方や姿勢といった些細なところで表現している。外見だけでは違いが判別できないところが物語のミソ。

SF的なドッペルゲンガー要素を期待させるような邦題、ストーリー概要との乖離。唐突なラストシーンの不明さ。これらが難解だとされている理由だろう。
個人的にはスティーブ・マックイーン監督『SHAME』が大好きなので、本作のテーマについてはなんとなく理解できた。原作を読んでいないので映画版がそれに習ってのことなのか分からないが、人間についての真理をこのような全く関係ないような物語によって表現する手法に恐れ入った。

あとサラ・ガドンの演技が素晴らしい。
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