最近観た中で、1番声を出して笑った映画。ドタバタコメディの王道の展開に、社会や人間性に対する批評や皮肉が散りばめられていて、かなり切り込んだ内容なんだけどしっかり笑える。
同じ国や人種、言語、宗教や性別など様々な括りで人を判断しがちだけど、個々人の生まれた環境や出会った人や価値観によって、一人一人違うんだということにあらためて気づかされる。
アートに対するジャンル分けや、作品が生まれるまでの経緯や、作家を神格化することに対する異常さにも言及。
とは言え本作が何かをジャッジしたり、正論を突きつけるのではなく、純粋に人間描写に長けているというのが好印象。
ジェフリー・ライトは超絶名演技。渋い助演で数々の作品で活躍しているけど、本作でのアカデミー主演男優賞ノミネートは嬉しい。
重くならず、軽妙なコメディでも鋭い批評は可能であるということに気付かされた。