爆裂BOX

スパニッシュ・ホラー・プロジェクト クリスマス・テイルの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.7
枯れ井戸に落ちたサンタの格好をした女を発見した子供達。警察に知らせようとするが、女が200万を盗んだ銀行強盗と知り、金を横取りしようと企み…というストーリー。
スペイン映画界の鬼才たちが競作する「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」の一作。監督は「ガリシアの獣」や「REC」をジャウマ・バラゲロと共同監督したパコ・プラサ。
森の中に枯れ井戸に落ちたサンタの格好した女強盗を発見した子供達が、女を閉じ込め、金を横取りしようと企むも思わぬ事態になっていくという内容です。
何といっても主人公の子供達の残忍さが一番怖いですね。女強盗に向って「金の在処を言うまで出さないぞ!」「死んで腐敗するまでそこにいる事になるぞ!」と脅しかけたり、一晩穴の中にいて衰弱してる彼女に向って色んな食べ物の名前言って追い込んだりと凄いクソガキぶり。死んでも懸賞金が手に入ると考えたりと金への執着も凄いですね。紅一点で唯一女強盗に優しいモニが食べ物届けようとしたら立ち塞がって食べ物奪って態々本名叫んだりする所も悪辣。ちゃちいゾンビ映画に熱中して作中のヴードゥーの儀式実行したり、「ベストキッド」に夢中になって「ワックスオンワックスオフ」したり、名前知られるとまずいからあだ名で呼び合う事になって「レイア姫」とか名付けたり、些細な事から喧嘩になったりと子供らしい所もあるのが余計に胸糞悪いですね。手に入れた金の使い道全然考えてない所も子供っぽい。
女強盗もニュース見る限りかなり凶暴な奴なんだろうけど、子供達から受ける扱いがあんまりすぎてついつい同情してしまいそうになります。
紅一点で優しい心の持ち主モニを「パンズ・ラビリンス」のイヴァナ・バゲロが演じています。終盤で「死体を隠そう」というクソガキに「12歳なのにそんな恐ろしい事を真顔で言えるの!?」と叫んだり終始まともなのはこの子だけでしたね。
衰弱して死んでしまったと思った女がゾンビになって穴から出て来て斧を片手に子供達に迫りくる後半の展開はハラハラできて楽しかったです。斧を壁や床にこすらせて火花散らせながら追い掛けて来たり、獣のような叫び声だけ上げる所等怖かったですね。夜の遊園地を舞台に子供達と女の攻防が繰り広げられる所等ジュブナイル感感じさせて良いですね。あんなクソガキ達だけど、力を合わせて立ち向かっていく展開は緊張感あって良かった。ちょっと「ホームアローン」っぽい仕掛けしたり、最後「ベスト・キッド」で決める所も楽しいな。
そこからの終盤の展開も捻ってあって良かったです。映画は正しかったんだなぁ(笑)穴を覗き込んだモニの表情や蠅の羽音で悲惨な光景が広がっていることを想像させる所も良かったです。モニの前にひざまずくゾンビの光景はどこかファンタジックでした。
ホラー的な怖さよりも子供達の残忍さと邪悪さの怖さが印象に残る作品でしたね。