スケ

オキュラス 怨霊鏡のスケのネタバレレビュー・内容・結末

オキュラス 怨霊鏡(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

怖かったしそれより何よりめちゃくちゃ悲しかった…😢


これからめっちゃネタバレしますけれど、幼き日に、呪いのアンティークミラーによって両親を殺され、家族を崩壊させられた姉と弟が、大人になってから呪いの鏡のその悪の力を立証し、殺人者の罪を着せられた家族の汚名を濯ごうと、万全とも思える現代的設備で立ち向かうも、鏡の圧倒的呪いパワーの前にあえなく惨敗する…というお話です。
なので後味はめちゃくちゃ悪いですし所謂鬱展開に継ぐ鬱展開が続きます。
ぜんぜんスカッとするシーンとかないので気をつけてください。

原題が眼球、というもので、これは鏡が呪いパワーで周りのものの認知を歪ませ、人に幻覚を見せたりするからなんですね。その力によって、知らないうちに自ら鏡にとって都合の良い行動を取ってしまったり、愛するもの同士の関係を壊したり、外部に助けを求めることをはばんだりするんですね。

この映画のテーマは認知だと思っているんですけど、鏡の強力すぎる呪いパワーがやってくるのは、妻に夫からの(現実には言ってない)悪口を聞かせるとか、そこにいない人を見せるとかそういうことなんですね。鏡から貞子が出てきて鏡の世界に引っ張り込むとかじゃないんです。周囲の人々の認知を狂わせる。
その恐怖をメタ的にも表現するため、この映画では過去の事件と現在の検証実験の様子を並行して映し出すんですけど、その過程で弟が覚えてる記憶と姉が覚えてる事実が違っていたのがわかったり、過去の惨劇と現在の事実がすり替わってきてたりする。これは上手い方法で、過去の記憶なんて簡単に歪むし、ひとが認知している世界は常に科学的正しさを持ったものでは決してないということを、観客側も実感させられる構成になっています。
そしてこの弟というのは、子ども時代の事件にて、鏡に操られた親を射殺して姉貴を守っているんですね、その罪で精神障害者として10年間入院させられてたんです。つまり彼は精神病患者で、幻覚とかが見えてしまっても仕方のない存在、と社会的にはされてるはずなんですね。つまり彼の認識する世界も、信頼できない語り手の見る世界ではある、という構図です。
何重にも認知を疑う要素を仕掛けていて、その辺上手いと思いました。

と、よく練られた脚本で、怪異の起こり方も、所謂「牡丹灯籠」的な、愛するものが敵だったし朝だと思ったら夜だった的な認知阻害系の攻撃なので、アメリカンなオバケとの肉弾戦とかでなくある意味めちゃくちゃ古典的で、サイコホラー的な要素というか、そういうゾクっとする怖さが楽しめて、私はそういうの大好きなんですけど、いかんせん、被害に遭ってるのが子どもなんですね。
大人になった姉弟が鏡の呪いと戦う、というストーリーではあるんですけど、半分くらいは過去のシーンとか、幻覚で映し出されている過去のありさまなので、大部分映っているのは泣き叫ぶちっちゃな可哀想な子どもたちなんです。
これ、つらすぎた…。
怖いのはめちゃくちゃ怖いんですよ。なんせ被害者が無力であればあるほど怪異の脅威が映えるというもの、腕も足も細くて頼りない子どもが2人、突如豹変した親から泣き顔で逃げ惑う姿はすごく怖いことは怖いんですけど、その姿にホラー映画的カタルシスよりも、現実の非虐待児や殺人被害者の子どもの姿を見てしまって、悲しくてつらくて助けてあげたくてほんとにつらかった。
子どもが身近にいる人は、苦しくて見てられない人もいるんじゃないかと思いました…。

その中で、幼い頃から親たちに対してもわりと毅然としてて、大人になってからも、鏡と戦って勝ってやる気満々、鏡の幻惑に「やるじゃない…」とニヤリと笑う姉貴の闘志に満ちた姿は数少ない心強い存在ではあったんですが、まあ、バッドエンド、なので…。。。。😢
姉貴…。勝って欲しかったよ…。


ただ、面白いし怖いホラー映画ですよ。それは間違いない。
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