スケ

エンドレス 繰り返される悪夢のスケのレビュー・感想・評価

3.1
面白かった…。

死ぬほどハラハラドキドキさせられすぎて中盤以降過呼吸になって気持ち悪くなってしまったレベルでした、ヤバい。


世界的に高名な医師である主人公は、行く先々で人びとを救い、その名声と引き換えに多忙を極め、肝心の愛娘と会う時間もないほどなんですが、その最愛の娘との待ち合わせの直前に自動車事故の被害者を助け出す手伝いをするんですね。救急隊員に怪我人を引き渡し、ホッと一息ついたらどうやら向かい側の横断歩道にも人が倒れてる。この事故は歩行者も巻き添えにしていたらしい。助けようと歩み寄ってみるとそこには、頭から大量の血を流し息絶えた娘の姿が…。
この冒頭だけでも厭度が高いというか、ホラーの素質あると言えるレベルでおぞましいシナリオだと思うんですよね。主人公、娘の事故死現場に出くわす前に、空港で飴を飲み込んで窒息死しそうになってた子どもを助けてたり、そもそも娘を轢き殺したと思われるタクシーの運転手の命を救うためにこの場に駆けつけてたりしたわけなんですね。他のことにかまけている間に、一番大事な娘は無惨に撥ね飛ばされて死んでいたことに気づくわけです。厭すぎる。
そしてさらに厭な話なんですが、この映画はループものです。このおぞましい時間を何度も何度も繰り返すはめになる主人公。
こっちまで気が狂いそうになるよ…


日本のサブカルチャーでも人気のタイムループものなのですが、ふーんこれは…「オールユーニードイズキル」ね〜 えっ…じゃなくて「ファイナルディスティネーション」なの…?違う?!もしかして「ロシアンドール 謎のタイムループ」?!えっ?さらにそんなことに?!?!えっ??!!
…と、ループもの好きのツボを押さえつつ、ループ系にそろそろ慣れてきた好事家たちの予想をどんどん超えていく展開に目が離せませんでした。

SF的構造の面白さを強調し、論理の紐解きの過程を楽しませる展開に持っていきがちなタイムループ系映画ですが、予想に反してこちらは情念に全振りです。怨嗟、執着、そして血反吐を吐くような後悔と決意を描くために、この映画ではタイムループというシステムを使っています。ループ物でこんな泥沼の、まさに地獄のような展開になるとは、絶対みんな思わないでしょ…。


タイムループ作品が好きな人、とりあえずハラハラドキドキしたい人、愛と憎悪、執着と怨嗟、慚愧と絶望の地獄が見たい人、息もつかせぬスピード感を味わいたい人、とにかく一回観てみた方がいいです。どちらかというとハリウッド的エンタメ系の肌触りなんですけど、韓国映画の濃密な情念のエナジーがしっかりと感じられる、肉厚な作品づくりです。
観ると疲れるレベル…。

なるほど今思えば主人公が世界を股にかけて人助けをし始めたのもそういう感情から来るアレだったのね…。それは確かにそうしてしまうかもしれないですよね…。
というか最後の最後まであの人が娘のそばにいることが怖かったよね…。
あと助手兼マネージャーみたいな後輩の彼、いいキャラだったよね、一服の清涼剤…。
とにかくめちゃくちゃ語りたくなるので、観た方はぜひコメントで語りましょうよ…。


なんかこれハリウッドリメイクされそうな気がするな…ハリウッド好みのアクションもカーチェイスも愛も死も全部あるもんな
スケ

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