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THE GUILTY/ギルティのスケのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
3.2
凄い映画、まじで良い映画、隙のない美しささえ感じさせる映画、なん、です、けど、観てる間ずーーーーーっとめちゃくちゃイライラした…………助けてくれ…



電話のコール音。少しくたびれた金髪を後ろに撫でつけた男がインカムを付けて対応している。目つきは鋭く、がっしりとした体つき。だが顎のあたりに疲れと懶さを感じさせる弛みがあり、そしてどこかこのオフィスに調和していない印象を与える。この場所は彼の居場所ではないという空気。

ここは緊急ダイアルの交換室。私たちが110番に電話した時につながる場所みたいなとこですね多分。

男はアスガー。緊急ダイアルの対応をしており、ドラッグでラリってパニックになった若者やら、買春をしようとして逆に物盗りにあったオッサン(通報してきた癖に自分の買春行為をギリギリまで隠したがっているため場所や状況が判明しにくくクソ面倒臭い。1イラpoint)やらの通報を、義務的に捌いていく。どこか時間を潰しているような手持ち無沙汰感さえ感じる。
途中で携帯が鳴り、取ったら相手は好奇心たっぷりの新聞記者で、どうやらアスガーの過去に絡んだ「事件」について聞きたいらしい。(記者がウザい上に同僚に仕事中に携帯取るなと怒られる。2イラpoint)ここらへんでアスガーが緊急ダイアルの対応スタッフをしているのは、どうやら一時的な左遷で、本来の彼は刑事であるっぽいことがわかってくる。彼は何かトラブルを抱えているのだ。目つきの鋭さ、体つきが電話を取るだけのこのオフィスのこの椅子の形に馴染まないいかめしいかたちをしている訳が判ってくる。
そんなアスガーは、次の日に重要な裁判を控えているらしい。おそらく彼がこのオペレーション室にとばされた理由に関わることだろう─どこか所在なさげな様子で仕事をしていた訳もきっとそれに関係している為なはずだ─そんな時、ひどく怯え、すすり泣き、会話もままならない状態の女性から助けを求める電話を受け──ここから事態が動いていく。アスガーは彼女を救うことができるのか?


テレオペって死ぬほどストレスが溜まる職場なんですね…多分だけど。テレオペに括っていい業務?なのか?わからないんですけど…
まあ上記に尽きるんですけどめちゃくちゃストレスフルな映画なんですよ!!!いや退屈すぎて見てるとダルいとかそういう意味じゃないのよ 緊急ダイアルのオペレーターって当たり前だけど基本的になんか起こっても相手からの電話を待つしか出来ないんですねー、かけ直すことはできるんですけどいかんせん相手はそのひとの人生で滅多ない危険な状況に晒されてる人達なため、パニクってるか泣いてるか、そもそも出られない状況か。だからなんか起こってるのは確かなんですけど助けようとしても出来ることがめちゃくちゃ少ないんですよ、得た情報を対応先の人により多く伝えようとしても「それは私たちの仕事じゃない。あなたも自分の仕事をして。」とか冷たく返されちゃうし(31イラpoint)。主人公は元刑事なんで以前のコネを使って捜査の手を伸ばそうとしても、元上司に強く嗜められるんです。映画に良くいる正義感から単独行動してしまうタイプのデカだな。でもなんか明らかに半端じゃない事件が起きてるっぽいのにみんななんもしてくれないし(それには合理的な訳があるのですが)通報者はパニクってシクシク泣いてるばっかりだし手がかりを求めてかけた先にいるのは6歳の子どもだしその子どもに怖いよ〜って泣かれるからなかなか得た情報を現場に伝えられんし!!(563イラpoint)こう書くとあれ?脚本家の怠慢で無理矢理に展開上の山を作るためにピンチを引き起こす無能キャラばっかり出てくるクソ映画なのかな?と思われるかもしれないんですけどそうではないんですよ〜〜!ただただめちゃくちゃリアルなだけなんです、現実ってこうじゃん???それに主人公アスガーを演じる役者氏の渋さと鋭さ、人生に疲れ、挫折を経た後も、まだまだ正義という獣の血をたぎらせている様子が伺える熱さ、忍耐に忍耐を重ね、結局のところ真摯に人間とコミュニケートすることでしか人に人は救えないと腹を括るまでの表情の、佇まいの瞳の演技は絶品なんです。ほとんどこの人の上半身しか映らないからね、演劇的なくらいのソリッドシチュエーションです、この人の1人劇ですぐに上演可能だと思う。そういう意味では地味だな〜とは思われそう。だけど全然ハラハラしますし手に汗握るしめっちゃ魅せてくれますよこの役者さんだけで。アクションやトリッキーなカメラワーク、先鋭的なBGMや視線誘導を担う扇情的な男女、それらは全部ないです。一人芝居みたいなものなんで でも、人が人を救うということへの一つの答えに辿り着くまでの男の旅が、丁寧に描かれた良作だと思います。ただめっちゃもどかしいです。もどかしさではち切れそう。ウワーッ!オレはなんでここで電話を待ってることしか出来ねえんだーっていう主人公の心の叫びがひしひしと迫ってきます。でも壮大なカタルシスとかは無いと言っていいと思う。あとせっかちな人とハリウッド的ダイナミックさを求める人は絶対観ないで!イライラで爆発しちゃうと思う


一箇所すごく共感したシーンがあって、ある人の叫びなんですけど、「誰も助けてくれなかった!役所も医者も弁護士も!」というのなんですけど、ほんとそうよね…ほんと、そういう状況だとそうなのよね…と涙が出そうになりました。ネタバレなので言えないんですけど、そういうアレだとマジでそうなんですよ、ほんとに誰も助けてくれないし法律とかもそういう人達を逆に追い詰めるようになってるんです。私にはわかるよ…と思いました…誰がどういう状況になってるかはクライマックスを見てくれ





いつも思うんだけど映画の中の人がストレスでウワーーッてなってデスクの上のものをガシャーン!て薙ぎ払ってぶっ壊した後誰が片付けてくれてるんだろう。この間観た「オキュラス 怨霊鏡」ではガシャーン!ってやった後も自分で片付けなきゃいけない主婦の哀しさまで描いててそういうの好きだなあ
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