サマセット7

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版のサマセット7のレビュー・感想・評価

3.6
オリジナルビデオ「戦慄怪奇ファイルコワすぎ!」シリーズの第6弾にして、初の劇場公開作品。
監督は「ノロイ」「貞子vs伽倻子」の白石晃士。
主演はシリーズ通じて大迫茂生と久保山智夏。

シリーズ最大規模の企画が動き出す。
タタリ村と呼ばれる村に潜入し、発狂の上行方不明になった投稿者カップル。
ディレクター工藤(大迫)、アシスタント市川美穂(久保山)とカメラマン田代正嗣(白石監督自身)は、同行者として、霊能者宇龍院道玄、科学者斉藤、アイドル小明を連れて、タタリ村に潜入取材を敢行!
案の定、現地で恐るべき事態に陥る!!!

いわゆるフェイク・ドキュメンタリー形式で作られたシリーズの初の劇場版作品。
シリーズを重ねるごとに評判を高め、白石監督の代表作シリーズと言われる。

今作は、これまでのシリーズで張られてきた伏線が回収される、集大成的な作品となっている。
工藤の過去、登場人物の正体などが明らかになり、過去作のキャラクターも一部再登場する。

ここまで見てきた観客は、このシリーズにもはや怖さなど期待していないわけで、魅力的なキャラクターの顛末、謎の解明、ジャンル間の飛躍の鮮やかさに笑いつつ引き込まれたいと願って今作を見るに違いない。
その期待は、100%満たされる。

ストーリー的には、ネタバレされる前にさっさと、見るべし、だ。
FILE1が琴線に触れたなら、見る価値はある。
逆にFILE1で合わなければ、見なくていいかもしれない。

特筆すべきは、やはり、工藤ディレクターのキャラクターだろう。
白石監督の似たようなテイストの過去作オカルトと比べても、工藤の存在が作品を面白くしていること数百倍だ。
彼の至る数奇な顛末には、奇妙な爽快感がある。

今作のテーマはよくわからんが、シリーズ通じて、何か面白いものを作ってやろう、ということに尽きるのではないか。

白石監督の代表作シリーズのクライマックスたる第6弾。
今作で1番印象に残ったのは、工藤がとある組織の幹部を問い詰めるシーン。
フェイクドキュメンタリーの形式で、あまりに振り切ったことをすると、新感覚のコメディになる、という一つの典型だろう。笑った。