くろのにつけ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のくろのにつけのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

予告編を映画館で観てずっと前から観たいと思っていた作品です。ようやく観れました。
気になった映画は下調べして観てしまう時もあるのですが、エニグマ解読の実話と聞いて事前に調べる事はせず、あえてアランチューリングの名前は聞いたことがある程度のままで鑑賞しました。

副題の意味、戦争とはまた違う角度から時代を感じて重かったです。
当時は罪である同性愛の為にチューリングは戦後に逮捕され裁かれ最期は自殺してしまいます。
チューリングがエニグマ解読の中心人物として貢献して多くの人命を救ったという、政府にトップシークレットとされた一番の戦功を戦時中に世間的には秘密裏にあげていた事実を考えると、無情ともいえる判決とその最期に言葉がありません。
チューリングにとって戦争とは何だったのでしょうか。
戦争が終わって自国が平和になったのを他所に、チューリングに訪れた寂しい人生の結末。その矛盾に虚しさを感じました。
最後に2013年に女王から死後恩赦されているとの字幕が入りましたが、本人はとっくの昔に死んでいる年月の経過に物悲しいものが残ります。
仲間達と一緒に暗号解読していた頃が一番彼は1人ではなく、自分の理論に基づいて信じるままに行動し、不器用で真面目な恋愛も経験し、生き生きと輝いて生きていられたのではないでしょうか。

ーー時として思いもよらない人が思いもよらないことを成し遂げることがある。ーー

チューリングはアスペルガー症候群であったのではという説があるそうですが、彼の人生は天才であるが故に、同性愛であることを除いたとしても自分について他人に話しても思考を理解されない苦悩と孤独に満ちていたように思いました。
意思を貫き通すことの意味や一度しかない時間や人生について考えさせられる映画でした。
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