April01

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のApril01のレビュー・感想・評価

4.2
ベネディクト・カンバーバッチ演じる主人公、アラン・チューリングは英国で新50ポンド紙幣の顔になる!とか、海底から暗号機「エニグマ」発見!というのは最近のニュースで、現代のコンピュータの基礎ともなるチューリング・マシンや「エクス・マキナ」などAIを題材とするSF映画にも登場するお馴染みのチューリング・テストを考案した英数学者、コンピュータ界のノーベル賞とも言われる「チューリング賞」に名前を冠する人物。

マシンと人間について考えさせられる内容。アスペルガー症候群であった可能性のあるチューリング特有の機械のような論理的思考の中で不器用ながら人間らしく生きようとしたヒューマンドラマになっている。
時系列シャッフルのストーリー構成にはちゃんと意味があり脚本に工夫がある。同性愛容疑で逮捕されたチューリングを刑事が尋問する形で物語が進んでいく中で、まるでチューリング・テストのような問答の場面が特に印象深い。「私は人間か機械か?」と。

暗号解読チームの群像劇のようにもなっている一方、物語のハイライトでもあるスパイの存在については見終わってからさらに調べたくなるほど当時の情報戦の凄まじさが感じられる。
マーク・ストロングが鋭い眼光で演じたM16長官スチュアート・ミンギスの表情を冒頭のチューリング逮捕の知らせに合わせて挿入したことにより、オーケストラの指揮者のような全体を操る影の存在として物語に1本の筋が通り、国家により機密として隠され続けた作戦という側面がより鮮明に伝わってきてストーリー全体を締める良い演出と感じた。
April01

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