April01

ジョン・ウィック:コンセクエンスのApril01のレビュー・感想・評価

4.1
ニューヨークを抜け出して大阪、ベルリン、パリへ!この舞台設定に本作の魅力が詰まっている。

大阪コンチネンタルの陣!が面白い。昭和の任侠映画を現代風にスタイリッシュにアレンジしてみました、みたいな。
ケインはまるで座頭市だし、ヌンチャク多用シーンも多く、アジアン要素満載。日本文化の使い方も違和感なし。

無理に英語を話す感がないのもいい。普通に日本語で話して相手が英語で答えたり、その逆も然り。多言語まじるやり取りに、マルチ・カルチャー・ムービーの新しい可能性を感じる。
自分がトリリンガル環境で家庭内3言語飛び交ってるのが個人的にツボる理由かも。

少し前に「ブレット・トレイン」見始めてすぐに視聴終了したわけだけど、なぜ面白くなかったかというとやはりホワイトウォッシングという問題。原作が日本の作品で舞台も日本、登場人物も日本人なのに。ブラッド・ピット好きだけれど、ハリウッド的商業主義のポピュラリティに依存して、舞台を借りてあちら様が踊ってる感じ。売れればいいから原作者もヨイショするしかないという哀しい映画界。

それに比べて、本作はむしろ、大阪ではこちら主流でむしろアチラ様を使い倒してる感じ。日本要素を借りましたってレベルじゃないのも好き。

シリーズ通して、ヨーロッパ系に限らず様々なルーツの登場人物みんなおそらくわざと設定出身地のアクセント強い訛りある英語で話しているのも好感持てる。
世界各地の英語!それはそれは酷い訛り。クイーンズでもアメリカンでもない、世界共通語としてのイングリッシュを便宜上使ってるだけなので!

特にアキラのキャスティングは見事。今までにいないタイプ。日本の芸能界から引っ張ってこなかったのが大成功。ハリウッド映画における、新しいタイプの日本人女性キャラ。日本語も英語も頑張って練習しました的なレベルでなく、流ちょうで自然な点も良い。
可愛くおしとやかな日本女性のステレオタイプをやぶる、スリムで若い強気な女性が欧米肥満中年オジやっつけるのは痛快。
この構図は絶対に狙ってやってると思う。デブおじがアキラにやられてひれ伏す場面、こんなの今まであった?😆

ベルリンもパリもアクション激しく、特にパリは映像も美しい。
ジョンの凱旋門付近での不死身ぶりがもはやコントにすら見える。車に撥ねられまくりーの、至近距離で打たれまくりーの🤣

決闘の最後の最後、一時停止して考えうるパターンをシュミレーションするのは自宅鑑賞の醍醐味。
そうでなければ後味悪すぎ、という思考を元にした究極の結果は当たったけれど、その過程が予想外で意表を突かれた。

回収されてないことあるぞって思いながらエンドロール観てたら、ちゃんと決着してくれた。
切なかったけど。そして邦題良かった。コンセクエンスというサブタイトルにふさわしいエンド。

スピンオフではなく正式な続編は?となると、自分の希望としては、1作目の前日譚をやって欲しいな。

振り返ると実はジョンは一匹狼でありながら、同じような殺し屋稼業の友達いっぱい。前日譚にみんな登場して欲しい!

ウィレム・デフォー演じるマーカスとのバディもの、ヘレンに出会うまでの無双っぷりをリバースして見てみたい。
このシリーズはそもそも愛を知った後の喪失から、心がズタボロになったジョンの物語としてスタートしている。そこからの彼の生き様、ヘレンを想うジョンはもう描き切ったと思う。

だからこそ逆回転して、それ以前の怖いもの知らずの無鉄砲で無感情な殺し屋、このサイクルから抜けるために殺すのではなく、無慈悲で愛などないジョンを見たいというファン心理が働く。
最後はヘレンに出会ってもいいよ。その後の過程をもう知ってるから切なさ増して全米が泣くこと間違いなし!という具合に勝手に想像しまくるほど、魅力的なシリーズだった。有難う。


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ランス・レディックの思い出に捧ぐ
April01

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