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毛皮のヴィーナスのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

たった二人の役者しか登場しない、完全なワンシチュエーションの密室劇。SMの要素が色濃い演劇を読み合わせていくうちに、オーディションを受ける側と選考する側、という二人の関係性がぐらつき幾度も逆転し、芝居と現実の境界線が曖昧になり、気が付けば完全に倒錯した世界に飲まれてしまう話。凄まじい。直接的なエロ表現は一切無く、何なら主演二人も全然美男美女じゃない。にも関わらず舞台を支配する強烈な色気のある緊張感から目が離せない。

Sの女王様というのは実はMの奴隷に教育された存在である、という男性目線のSM感、それこそが男尊女卑で自分勝手な男の欺瞞的願望である、と一蹴してみせる本作。ラスト、縛り付けられた主人公と共に、我々も謎の恍惚感と爽快感と置いてきぼり感を得る。傑作。
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