JunIwaoka

毛皮のヴィーナスのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)
3.0
2014.12.20 @ ヒューマントラストシネマ有楽町
(英題:Venus in Fur)

基本的に前作"おとなのけんか"と変わらないワンシチュエーションコメディで、インテリが理性を抑えられなくなる様をユーモラスにまたシニカルに描き、その痛々しさに笑わせてくれる。"おとなのけんか"が二組の夫婦が敵も味方も見境なく、原題の通り虐殺(Carnage)を繰り広げたのに対して、今作は男と女の一騎打ち。まぁそうなったら結論は言うまでもなく勝てるわけないんですよ、男は。女性にね。笑
歴史的名作"毛皮のヴィーナス"を真実(だったけかな?)の愛と崇める演出家の男と、"男尊女卑の時代のただのエロ本"と切り捨てる女優。オーディションで採用を決める立場であり見下している彼が、彼女の強引さと独特な感性に思いもよらず魅了されていく過程が面白い。彼がひけらかす知性は何も役に立たず、理性は文字通り丸裸にされて深みにハマっていく。服従はする側の方が心地よく、その甘美な誘惑に全てを投げ捨ててしまう男のなんて惨めなこと。男にとって女性はヴィーナスであり、突きつけられるリアリティであって、その結末にぽか〜んと唖然させられるが納得。大笑いすることはないが終始クスクス笑わせてくれて、尻窄みだった前作よりもこちらの方が好き。
マチューは相変わらずお見事でしたが、エマニュエル・セニエ様恐るべし。
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