みーちゃん

砂漠の流れ者のみーちゃんのレビュー・感想・評価

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)
4.8
大きな包容力と温かい眼差しを感じた。
私はワイルドバンチでも、バイオレンス以上に、サム・ペキンパー監督の人物描写が好き。だから銃撃戦がない本作も違和感なく良い。しかもコミカル。

ただ、これがワイルドバンチの翌年作で、ペキンパーは当時45歳!と考えると、さすがに驚きを隠せない。もっとずっと後、年齢を重ね円熟期を迎えてからの作品に見える(といっても、彼は59歳という若さで亡くなっているけれど)
精神的な到達点の早さと高さに感心する。

印象的なのは、一つのシーンをカットを変えて繋ぐ、いわゆるジャンプカット。この手法が、初めから終わりまで、様々なバリエーションで効果的に用いられている。それによって、何も説明しなくても、時間の経過は勿論、想いの強さや持続性みたいなものが伝わり、無意識のうちに、深い感慨を生んでいると思う。

ヒルディも魅力的。自分の力で生きる自立した女性として描かれている。彼女がホーグのオアシスに現れた瞬間、まさしく砂漠に花が咲いたように、世界がパッと色付く✨二人には幸せになってほしいと心から願った。だから、最後の10分間は、頼むから何も起きるな!と祈りながら観た。

※ 原題"The Ballad of Cable Hogue"そのままが良い。邦題で避けてたから。薦めてくれて、本当にありがとうございました。