みーちゃん

川っぺりムコリッタのみーちゃんのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
1.5
こういうのをハートフルって言えるメンタルが羨ましい。私は無理。登場人物や状況には理解も共感もするが、全然リアルじゃない。いやいや、そもそもリアルは求めていないの?それなら、こんな現実と地続きなのは罪な気がする。

違和感ポイントはいくつもあるが、先ず、美しい管理人母娘。たぶん、あの団地で安全に暮らすのは無理。いくら住人が善良でも魔が差すことだってあるし、他所から誰でも入ってこれる。きっと、身も心もボロボロになる事件が起きまくるに違いない。

松山ケンイチとムロツヨシの距離の詰め方も無理。特に終盤の浴室越しのシーン。演技が達者だから、「僕さ、山ちゃんみたいな奴が隣に越してきて、本当に嬉しいんだぜ」の言い方が、とても巧い。さすがムロツヨシ。でも、この後のセリフに幻滅。続きも映画の中で言わせちゃうの?言葉で表現できない感情じゃないのかな。或いは、伝えたくても伝えられない人達の物語じゃないのかな。シラフだし。私には錯綜してるように見えた。器用に生きられていて、そもそもの設定が分からなくなった。

あと、すき焼きの吉岡親子。あの親子をどんな意図で登場させたのだろう。おもしろ担当?シュールな味付け?虐待に言及?黒澤明の「どですかでん」を観てほしい。

そうか、こんな生活や状況を舞台にしているにも関わらず、社会や人間の醜さ、恥ずかしさ、営みが描かれていないんだな、とレビューを書きながら納得した。