痛快探偵映画でよくある「お前が犯人か!」みたいな胸のすく展開も、ノア・バームバックの手にかかればこんなにむず痒くなってしまう。本当この監督最高。こんな気持ちよくないどんでん返しは初めて観た。
自分が情けなく感じられる瞬間が痛いほど丁寧に描かれてて、そのリアリティがすごい。たぶん8割くらい、監督が本当に経験したことなんじゃないだろうか。CMのモノマネしてもみんな無反応なところとか絶妙に解像度が高いシチュエーションで恐ろしい。Amazon Fire Stickのリモコンをカッカッカッカッカッと連打している時の虚しさも、あれ何なんだろうね。生活に散らばってるそういう瞬間の切り取り方のセンスがこの人は抜群だと思う。
ベン・スティラーの哀愁が堪んない。祝賀会での「愛してた」と「泣かないぞ」の台詞、すげえと思った。周りがみんな敵に見えるときってあるよな。大人になれよって言われる時もあるけど、でも意地は曲げたくないんだ。
ラストも素晴らしい。大人たちは諦めたんじゃなくて「折り合いをつけた」のである。自分がかつて出来なかったことや、他者が持っていて自分が持っていないものを見て怯える必要なんかない。人生には別のアプローチってのがあるはずだ。
だけど一番恐ろしいのって実は……👶