1962年 監督は木村恵吾。作品には「愛染かつら」「痴人の愛」などある。
77歳の卯木督助(山村聰)は、軽い脳溢血で寝たり起きたりの日日を送っている。そんな彼の楽しみは食と性だけ。そして性の対象は息子浄吉の嫁の颯子(若尾文子)だ。
こんなストーリー。
それで、谷崎潤一郎は何を描きたかったのか。
読者がこういうものを望むならと、本を売るために、サービス精神で書いたのか。人間とはこんなもんだと人間の本質を書きたいと思ったのか。そうであるなら間違ってる。歳を取ったら食と性だけが楽しみというのはちょっと極端すぎる。余りに単純な発想。漫画以上にマンガだ。
監督、映画会社はただ若尾文子のお色気で金儲けできればいいと思って作ったに違いない。考える必要もない。
若尾文子は颯子が督助にしたように、監督が、お客様がそう望むならここまではやってあげるよ、仕方ないという上から目線か。
山村聰はちょっと違う役にも体当たりしてみたい。そんなところか。
いずれにしても、ただのエロジジイの話の領域を一歩も出ない駄作。谷崎作品は「細雪」を本でも、映画でも体験しているから、こんな映画でも、何か違うものを感じさせてくれるのかと少しは期待したが、何もなかった。当たり前か。
フォロワーの方がどなたか書かれていた。若尾文子の影武者がいると。この映画の全てを若尾文子が演じているならまだ価値があるが、肝心のシーンはおそらく全て影武者。見え見えのカットが続く。
若尾文子の出演ということだけで、3.4評価。若尾文子ファンでない方は見る必要はないと思う。
2022.11.24視聴-519