サマセット7

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-03 人喰い河童伝説のサマセット7のレビュー・感想・評価

3.7
オリジナルビデオ「戦慄怪奇ファイルコワすぎ!」シリーズ第3弾。
監督は「ノロイ」「貞子vs伽倻子」の白石晃士。
主演はシリーズ通じて大迫茂生と久保山智夏。

映像制作会社にまたまた投稿動画が送られてくる。
今回動画に映っているのは、河童????!!!
前作の後遺症でディレクター工藤(大迫)が不在の中、アシスタント市川美穂(久保山)とカメラマン田代正嗣(白石監督自身)は、投稿者のカップルと共に問題の池へと向かうのだが、その池では水難事件が続いていることが明らかになり…。

いわゆるフェイク・ドキュメンタリー形式で作られた、オリジナルビデオ・ホラーシリーズ第3弾。
シリーズを重ねるごとに評判を高め、今では白石監督の代表作と言われるシリーズ3作目。

作中人物の手持ちカメラによるフェイクドキュメンタリー手法、作中でジャンル間の飛躍をみせる独自の構成、工藤ディレクターの特異なキャラクターを中心としたチームものとしての魅力。
前作、前々作のこれらの魅力は今作でも踏襲。

前半に工藤は登場せず、「河童伝説」を追うトンデモ企画ものの体で話は淡々と進む。
河童、という題材も、トンデモさを際立たせる。
しかし、工藤復活と、中盤のある人物のプロフィールが明らかになる下りから、物語はジャンルを踏み越え、ジェットコースターのごとく爆走する。視聴者の方は爆笑する。
中盤以降のシリアスな笑いの威力は特筆もの。
一見の価値がある。
特にクライマックス!!!!!
最高!!!

前作、前々作と関連する部分もあり、シリーズとして謎は深まるばかり。
また、工藤の過去もちょこちょこと語られ、こちらも見逃せない。

都市伝説や心霊、妖怪など、人間の想像力の産物を、手持ちカメラとチープな演出で俯瞰視し、シュールな味わいとして楽しみ尽くす、というのは、独自の試みとして面白い。
カメラのレンズを通すことで客観視される映像というのは、従来はリアルさが売りだったわけだが、よくよく考えるとシュールで笑える部分がある。
この面白さにフォーカスした点が、今作の特長であり、テーマでもあるのだろう。

ますます快調な、オリジナルビデオシリーズ第3弾。
これは次作が楽しみだ。