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フューリーのTSのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
3.4
1945年4月、連合国とドイツ軍の終盤の戦争を描いた戦争映画。戦争映画とは僕は二種類あると思い、それは民衆レベルから観たいわばミクロレベルの戦争映画と、為政者、兵士レベルから観たいわばマクロレベルの戦争映画だと思います。

自分はどちらかというと前者の作品の方が好きです。(例:シンドラーのリスト、戦場のピアニスト)
これと『プラトーン』を観て、傑作にかわりはないんだけれども、自分の好みではないなあと実感しました。

でも本作は勿論悪くありません。むしろ戦車であるフューリーを筆頭に展開されるタンクムービーとしてはかなり迫力があり、武器グッズなどが好きな人は大満足の作品ではないでしょうか?

通称ウォーダディーは、北アフリカの経験を踏まえた仲間たちと独軍の前線で侵攻をしていた。ウォーダディーに続く主人公である新米ノーマンは、戦争の恐ろしさ、無情さを、経験を通して成長していく。

割とグロテスクなシーンがありますので、流石戦争映画といったところ。この部分はやはり隠さない方がリアリティーが伝わるのでしょうね(°_°)

内容には敢えて触れずに、今回は戦争とはについて簡単に申し上げたいと思います。

最終的には追い込まれるフューリーなのですが、ラストに戦争とは何かを強調するようなシーンがありました。それは独軍の一人がノーマンを見逃す箇所です。この箇所は凄い考えさせられました。兵士は「殺したいから殺してる」わけではない。「殺さないといけないから殺してる」ということです。
生粋の犯罪者などの邪悪な心をもつ人間は勿論いて、その人たちからしたら殺人行為は快感かもしれませんが、大多数の人間はそうではないはずです。
兵士にも一部そのような思想を持つ人がいるかもしれませんが、大半は善人のはずです。その強調がノーマンとその独軍兵士であったと思います。

ノーマンは最初、独軍の兵士を撃つことを躊躇います。それが仇となり、こちらの兵士が死亡してしまいます。なのでウォーダディーは彼に戦争の教育を施します。それは一種の洗脳といってもいいです。洗脳されなければ戦争なんてやってられないでしょう。僕は、ノーマンは作中では十分に「洗脳」されたと良いと思います。殺さないといけないからという洗脳により、、、

ところがその最後のシーンでは、独軍兵士は彼を殺しませんでした。あれがもし他の人に見られてる公共の場なら、勿論殺したでしょう。なぜなら世間体の思想は「敵は見つけたら殺せ」ですから。ですが、あのシーンは彼ら二人での出来事。あそこで独軍兵士の洗脳されていない素の感情が露わにされたと思います。結論的に、誰も殺したくて戦争をしてるわけではないのです。殺さないと戦争が終わらないからしてるのです。

その辺を非常に考えさせられたシーンであり、僕のフューリーにおける一番のシーンになりました。

と、色々書きましたが、冒頭にもいった通り、自分はマクロレベルの戦争映画は嫌いではありませんが、それほど好きでもありません。なのでスコアはこれくらい。プラトーンよりは良かったです。何故ならなるべく両軍平等に描いてましたから、、、

いずれにせよアカデミー賞ノミネートされるほどの実力はあるなあと感じました( ^ω^ )

それにしても流石のブラッドピットです。名作には名俳優とは強ち間違いでもないようです、、、もちろん『明日、君がいない』のような無名監督、俳優による傑作もありますが!
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