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Mommy/マミーのnnmのネタバレレビュー・内容・結末

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

刺さる……。
意図せずグザヴィエ・ドラン作品のレビューが3連続してしまった。いずれにも通底するのは縦横比の遊び、あと母との葛藤。
やっぱこの世の苦しみってすべて親との葛藤から生じている。嫌いなわけじゃない。むしろ愛しているからこそ、すれ違ってしまうことが苦しくてどうしようもないから救いがなくてさらに苦しい。ママの、「母の愛は永遠よ」「あなたの愛はほかの誰かに向くの、それが自然なの」みたいな台詞、刺さる。わたし自身母親のことが大切なのにうまく向き合えていないことを嫌なほど自覚させられた、わかんないけどみんな多かれ少なかれ母親に対して割り切れない感情抱いているんじゃないか、そういう感情を前景化させる映画だとおもいました。この苦しみは母の愛と同様永遠に消えないけど、でもいずれ薄まって生活に支障をきたさないくらいになってわたしたちはうまく生きていけるようになるんだろう。親子とて人間だからうまくいかなさはぜったいに生じるとおもうけど、それ以外の要因によってうまくいかなさの程度は変わってくる、たとえば生得的要因とか経済的要因とか。発達の偏りに経済的弱者の立場がプラスされることでこの社会での生きづらさはぐっと上がるしそのような状況におかれているひとはいまの日本でもきっと恐ろしいくらいたくさんいるだろう。理論のうえでは彼らを支えなければいけない必要性は明白だけど、このように実生活に根ざした表現をされると、この場に自分が面していたとしたら自分はなにかできるだろうかと立ち止まってしまう。なにもできないだろうな。なにかしなければ、ということすら思えないかもしれない。そんなことまで考えるのはおこがましいかもしれないけど。いろんな思考が起動されては、「しょうがない」に行き着いて、どの選択をしても否定しかできないような、そんな物語でした。しょうがなかった。最悪の選択だったとしても、進まなければならなかった。
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