見終わったあとに「こういうのを待ってたんだよ!」と叫びたくなった。続編でもリメイクでもない、完全オリジナルの大傑作。
ストーリーは設定こそあるものの、あっちこっち行くようなものではない単純明快なもの。つまりストレートに観客の心を鷲掴み、人間の本質に迫る命題。
特筆すべきは音楽。主人公である親子が大好きな曲ばかりを集めて焼いた自作のCDが劇中に出てくるが、その曲たちがそのまま劇中音楽として流れる。一曲一曲が二人のために作られたような象徴的な曲ばかり。そしてOasis。やばい。
さらにスクリーンサイズ。映画館でしか味わえないあの仕掛けは、まさにこれから世界が広がっていく、自由な彼らの旅が始まっていくことを告げる幕開けである。
3DでもIMAXでも4DXでもないのにすべての観客を巻き込んで今まで見たことのない景色へと連れていってくれる、あの没入感。グザヴィエ・ドランのプロデュース力が今後世界の映画界を席巻する。かもしれない。