わたP

Mommy/マミーのわたPのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.0
やっと俺のフィールドに来やがったな天才ちゃんよ!!
と、すっかりお洒落映画界のアイコンとなったグザヴィエ・ドランの最新作を劇場で見逃したので今更見ている。
今まではLGBTの話だったので、かなり自分のフィールドで思う所を撮ってたイメージだったのだけど、今回は発達障害とその家族。というのがテーマであるので、僭越ながら障害福祉を仕事としている身としては、どれどれ、どんなもんじゃいという具合に上から見ておりましたけれども、恐れいった。ちゃんとしてる。ちゃんとしてるわあ。

近年の福祉の考え方というのは、障害による特性も含めてその本人の権利を養護したり尊重しようという向きになってきていて、意地悪な言い方をすれば、障害を持つ人の現在の一般社会では特異的と取られる行動も認めてあげよう。社会が理解してあげよう。という考え方になってきているんですね。
なのでこの映画で言えば、ADHD(注意欠陥多動性障害)であるスティーブの衝動的な行動も容認してあげられる社会になればいいね。というものなのです。
でもさすがにそれって容認できることと出来ないことがありますよね。家族で口喧嘩するぐらいならまだしも、ショッピングカートで公道のど真ん中走るのって危険だし車の迷惑になるしで、止めなきゃいけない。

保護者に関してもそれは同じで、障害のある子供がいるからといって、その保護者が他の人達よりも慎ましくて制限のある生活をしなくてはいけないの?だけれども保護者としての責任はつきまとうし。という答えが無くて明確な線引が出来ない世界で生きているわけです。


そういった生きにくさとか抑圧された世界を真正面から向き合って映画にしていることに驚いたし、清くて感動するためだけに配置された障害者の映画ではなくて、その残酷さや不条理を突きつけてくる映画であると思う。特にカラオケのシーンは久しぶりに映画でこんなにフラストレーションが溜まりました。

そしてそれを画面の比率を変えて演出する手腕は見事で、ただ奇をてらうだけの演出ではなくて、事実かなり正方形の画面は窮屈に見えますよね。あとカットがコロコロ変わることや、執拗に音楽を重ねているところもADHDの注意力の欠如や衝動の揺れを表しているとも感じました。
oasisのかかる場面でスティーブが画面を開くポーズをするのはちょっとやり過ぎかと思ったりもしたけど。
あと細かいことを言わせてもらえば、スティーブの放火はそれを予防できなかった施設の責任に出来ると思う。

それでもまあ障害福祉という難しいテーマを、家族の愛。という今まで描いてきたテーマに持って行って、確実にドランの映画である。という風に見せてくれるのは流石。ひねくれ者で妬みっぽい自分が必死にドランの粗を探そうとするけど、やっぱり凄いねこの人は