KnightsofOdessa

サンドラの週末のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
4.5
[] 90点

大傑作。2014年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ダルデンヌ兄弟長編九作目。『ロゼッタ』に続く"仕事のために戦う"映画。休職明けに復帰準備をしていたら解雇されそうになっていて、他の従業員16人の半数がボーナスを捨てて彼女の残留の望む投票に賛成票を入れなければならず、週末に訪問を重ねて説得するという話。この前提が既にヤバいだろというのはさておき、主任が裏で工作してくるという地獄っぷりには、復職してもコイツの下で働くの嫌すぎるだろと思うなどした。一人ずつ会いに行って投票を呼びかけていくシーンでは、それぞれ背景でサンドラと相手の空間を分けているのが興味深い。ウィリーのときは金属フレームが、ミレイユのときは木のドア枠が、ヒシャムのときはプラケースが、ジュリアンのときは壁の色違いレンガが相手とサンドラの間に堂々と鎮座し、両者の溝を浮き彫りにする。一方で、意味深に柵が映されていたティムールとの会話では、なぜか切り返しが使われていて、両者の和解と共に二人はようやく一つの画面に入り、柵も画面から押し出される。イヴォンに会ったときも車のドアによって隔てられていた空間が、彼が殴られて転倒したことによってなくなり、彼は賛成に転じる。アンヌもアルフォンスも最初に会った際は背景のドアや壁によってすっぽりと包まれていたのだが、徐々に両者の間にある隔たりが消えていくにつれて、視覚的にも障壁が無くなっていく。上手いなあ。
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