Kuri

サンドラの週末のKuriのレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
4.0
タイトル通りに"サンドラの週末"を追いかけるだけの作品なんですが、凄く心揺さぶられます。

サンドラさんの表情にふっと浮かぶ感情、不安や哀しみや恐怖や喜びは、世界から見れば一人だけのものだけれど、
スクリーンに映し出されれば、それを見つめるひとの中にある感情の記憶と結びついて広がってく。
今の労働者にとっては、もちろん自分にも、賃金と雇用を天秤にかけるような判断を迫られる職場環境は当然のようにあるので、そこに映される感情は痛いくらいにわかる。
サンドラさんの旅は、僕の旅でもあるのです。

そして、音楽!
哀しい孤独な唄を聴いて、一人でいるのは自分だけじゃないと勇気付けられて。
ヴァンモリソンが唄う"グロリア"に合わせて数少ない理解者と合唱して、ささやかな勝利を讃えあう。

物語の着地点とサンドラの選択は、経済の嵐に揉まれた上で滲み出した人間性の勝利と感じました。

なんだか、オレ頑張らなくちゃな、と思いましたよ。
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