MARUKO

アメリカン・スナイパーのMARUKOのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.5
アメリカを救った英雄たちの賛歌。
ほんとに素晴らしい作品。

今まで自分が観た映画に、チラッとイラク戦争を感じさせたり、その戦争の裏でこんなことがあった、といった感じの作品はいくつかあった。
でも、ここまでストレートに戦場にフォーカスした作品は初めて見た。
大戦を題材とした戦争映画は、歴史映画という印象が強く、小説を読むような感覚で見てしまう。
でもこの作品のリアルタイムさ、あのニュースの裏のリアルを見せられた感じ。この緊迫感と現実感は今までにない感覚だった。

戦争が人にもたらす、死や破壊以外の部分を丁寧に描く。
命を奪い合うって一体どんな感覚でどんな空気なのか。好奇心すら抱いてしまうほど、現実感がないことが現実に起きたとき、心に与える負担。想像した範囲でも苦しいのに、きっと想像を越えている。
そしてほんとにあっという間に死んじゃう。そこもちゃんと描かれてる。

あの子の悲鳴。もう演技に聞こえなくて、耳を塞ぎたくなった。もう一度フラッシュバックして聞いたとき、そのおぞましい声にトラウマを覚える。何にも映らないテレビに、自分もドリルが浮かんだ。
頭に焼き付けられたシーンを挙げるとキリがない。

ラストの衝撃と、"彼"もまた戦争の被害者であるという途方もないやるせなさ。
語り尽くせない、もうすごい映画だった。

p.s.いっこだけ。ラストの不穏さを醸し出す撮り方。"彼"に対する無慈悲さを感じ、自分はあまり好きじゃない。
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