いままで、
映画の中でたくさんの薄幸の子供たちを見てきたが、
この作品の主人公チェレは、
どの作品の子供たちより強くて哀しい。
この物語が、
ほぼ史実にのっとって作られているということを聞いて、
胸が締め付けられそうになった。
7歳の少女チェレは孤児。
養育費目当ての農家に引き取られてはいたが、
服どころか下着さえも着させてもらえない。
もちろん、
学校にも行かせてもらえず、
牛追いや荷役などの重労働をさせられていた。
割れたスイカを勝手に食べたということで、
酷い虐待を受け、
チェレはある日、
自分を捨てた母親を探しに農家の家を出る。
が、
すぐに役場の人間に捕まり、
別の家に引き取られていった。
ここでは、
服は着せてもらえたものの、
虐待は一層ひどくなる。
仲良くなった、
下人の老人と仲良くなるり、
教会へ行ったりするが、
そこで憲兵と話していたのを家の者に目撃され、
虐待を密告しているではないかと誤解される。
老人は、
チェレの身代わりのような形で殺され、
荼毘に付される。
そしてクリスマス。
家の者たちは豪華な食事でパーティーをしているのに、
チェレにはパン一かけらも渡さない。
老人と一緒に暮らした馬小屋に籠ったチェレは、
『キリストさん、
私にもプレゼントを頂戴、
わたしにはだれもくれないの・・・』と、
小さな灯を灯して祈るのだが・・・
あらすじを書いているだけで泣きそうになる。
舞台は1930年代、
独裁体制のハンガリー。
過酷なチェレの生き様を象徴するような、
力強いハンガリーの風景。
素朴でとても野趣的だ。
辛いけど、
おススメの作品です。