マヒロ

365日のシンプルライフのマヒロのレビュー・感想・評価

365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)
1.5
モノで溢れかえった生活に嫌気がさした青年・ペトリは、私物を衣服から何から全て倉庫に預けてしまい「1日一つだけ物を取り出すことが出来る」「買い物はしてはならない」というルールを設けて丸一年間生活するという実験を始める……というお話。

1日目は本当に何も無い状態からのスタートで、家から倉庫までの道のりを道で拾った新聞紙で隠しながら全裸で駆け抜ける姿がなかなか衝撃的。一日ごとに徐々に文明を取り戻していくというワクワク感と、それに伴って普通の生活は出来るのか?というところで興味を惹かれるんだけど……
ちょっとネタバレになるが、ペトリ氏は開始7日ぐらいでもう必要最低限の物は揃ったかも、とか言い出して、早々に倉庫から物を取り出すのを辞めてしまう。そのあとはたまに思い立って欲しいものがあったら取りに行ったりするが、十日間行ってなかったから10個取り出そうみたいな後付ルールが発動したりして、せっかくの面白い縛りを破ってしまうので、この映画ならではの醍醐味が失われてしまいかなり残念だった。

あくまで記録だから無理してエンタメにする意図も無かったんだろうけど、ルールを失ったら後は知らない青年が普通の生活を過ごしている映像を見ているだけになるので、正直見どころはない。おまけに彼女が出来てからはペトリ氏のラブラブデート映像みたいなものがしばらく続き出すので、もう何を見せられてるんだという気分に。彼女の顔を隠しているのでプライベートに配慮してるのかなと思ったら、最後の最後で満を持して登場みたいな感じで普通に顔が出てくるという演出も微妙に腹立たしい。別に待ってないって。

最終的に語られるメッセージも、まぁそうでしょうなという程度のものでしかなく、面白くなりそうな題材を持て余したまま終わっていったなんとも言えない空虚さを感じる映画だった。ちょこちょこ挟まれる監督とおばあちゃんの会話シーンの暖かさが良かったので+0.5点。

(2020.117)
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