鹿苑寺と慈照寺

フレンチアルプスで起きたことの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

3.9
スキーリゾートを訪れたトマス一家。テラスでの食事中に雪崩が発生。トマスが妻と子供2人を置いて真っ先に逃げたことで家族の信頼関係が揺らいでいく。

「逆転のトライアングル」が面白かったので、リューベン・オストルンド監督の過去作を鑑賞。

人間なんて所詮は不完全なんだからお互い様でしょうという具合に良い塩梅にキャラクターが作られていてとても良かった。どっちもどっちである。

トマス:雪崩から真っ先に逃げたことをさっさと認めればいいのに変な理屈をこねて認めない。
エバ:手打ちにしましょうという話になったのに、旅先で出会ったマッツとファンニの年の差カップルの前で人の話を遮ってまで話を蒸し返す。

本作が面白いのは、雪崩の一件がマッツとファンニの関係性にまで影響を与えている点。まさに「雪崩」のごとく完全に巻き込み事故だ。

ラストのとある展開でトマス夫妻、マッツとファンニの関係性を綺麗に見せているのがめちゃくちゃ良い。
トマスは勝ち誇ってたばこを吸っている。
エバは自身の行いにおそらく何も気づいていない。
マッツとファンニはお互い距離を取って歩いている。

トマスとエバは似た者夫婦だなあ、微笑ましいなあ。夫婦は長い時間を共にすると似てくるって言うしね。
エバへの特大ブーメランというオチが最高だった。それを無理にストーリーの中で説明しないのもクールで良かった。

最後に邦題の話。
これはさすがにダサい。原題は「force majeure」で、不可抗力という意味らしい。予測できなかった災害から契約した両者が責任を逃れる、とある。「両者」というのがラストのオチも考えると面白い。
そう考えると、邦題に「不可抗力」の要素がなさすぎて、もう少しどうにかならない?と感じてしまった。


以下は個人的なメモ
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冒頭から謎のオーケストラ音楽という謎オープニング

邦題が微妙

仕事人間

雪崩

真っ先に逃げる父親

ガチ泣きしてるやん。笑

「彼はすぐに逃げ出した」

「子供と来るには最適のリゾート」

どんだけ雪崩の話を蒸し返すのよ。笑

泥仕合
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