穂苅太郎

フレンチアルプスで起きたことの穂苅太郎のレビュー・感想・評価

3.8
妙にワンシーンワンシーンがちょっとだけ長まわしているので、カットがかかった後の表情がメイキングなどで笑えるように、この何とも言えない持て余す間でコメディにしている。

夫婦はそれぞれ傷つけあうのだが、その刃は結局子供達に向かうことになる。特に弟ちゃんの方はADHDっぽい描写があることからより感受性豊かだと思われ、不自然なほど早く父母の険悪を察知する。
父親も母親もそれぞれ勝手に傷つき勝手に怒り、大人っていうやつはめんどくせえなあと結論づける。

そして結局解決もあくまでも子供のことを思ってのイベントを企画したわけだ。でもこれを間接的に仕向けたのは子供だからね。
この構成が上手にできている。気持ちがいい。

閉ざされた冬山ロッジの中で起こる親父の脆弱な精神が原因での劇的な家族の崩壊と恢復ということではなんと「シャイニング」と同じじゃんか。
恐ろしさではいい勝負だと思う。こちらは笑いどころがふんだんでコメディだけど、でもとても恐ろしい。
穂苅太郎

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