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めぐり逢わせのお弁当のmumbleboyのレビュー・感想・評価

めぐり逢わせのお弁当(2013年製作の映画)
3.7
もう観てから数日経っているので何でこれを観ようと思ったのか思いだせないのですが、アクション映画が続いたのでそうじゃない物を観たいと思ったのかも知れません。

この映画のキーとなっているのがインドにおけるお弁当のデリバリー。何年か前にTVでこれをやっているのを見てどうやってるのか不思議でした。全く間違えなく届けるのなんて無理だろうに、と思っていたらズバリ今作はそこで起きた間違いが元にドラマが展開するというお話でした。

ある日、夫のために美味しい料理を作る主婦イラのお弁当が早期退職間近の会社勤めの男サージャンに間違って届く。男はいつもよりずっと美味しいお弁当を平らげ空っぽのお弁当箱がイラの元に届く。帰宅した夫に弁当のことを聞くと美味しかったと言うがそこには入ってなかった具材が特に良かったという。不思議に思ったイラは次の日お弁当に手紙を入れるとサージャンはそっけない返事を返して、そこから2人の文通が始まる。だんだんと文章を通して心を通わせていくが2人は果たして。。。

文通の映画で自分が思い出すのは「チャーリング・クロス街84番地」というアン・バンクロフトとアンソニー・ホプキンスという名優すぎる2人が長年文通をするという話でした。もうかなり昔に観たものなので定かではないですが、この作品では2人は結局最後まで実際に会うことはなかった気がします。これは86年の映画で舞台もそれよりも昔だと思うのでこういったプラトニックな関係が美とされたのだと思いますが、今作は2013年製作で舞台も同時代のインドということでそれは全く違うのですが。「チャーリング・クロス街84番地」では文章には書かれていない部分に思いをはせる、みたいな感じだった様な気がしますが、今作はそういったおしとやかさとはなく割とお互いのことを他人だからこそ伝えられるという感じでした。

不倫を題材にした映画は日本や欧米では珍しくないですが、今作はそこまであからさまに不倫という所までではないですが、もしかしたら珍しいのかも知れないと思いました。登場人物の宗教が何かは詳しく描かれていませんでしたが宗教熱心なインドでは今作くらいの作品がひょっとして限界だったりするのでしょうか。どろどろすぎる欧米の不倫映画は好みとは言えないですが、ちょっとその辺の事情はどうなのかなと思いました。

インド映画というとボリウッド的な作品が多いですが今作はそういったつくり込みを全く感じさせないどっちかというとドキュメンタリーの様に実際に起きていることを目撃している様な映画でした。
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