監督相対評価★4.5

個人的に一番好き。実験映画はアンダルシアの犬然り物語を拒否するのみならず平面化されたスクリーンにすら反撥せねばならない。立方体なのに回転すると奥行きが消える出鱈目ぶり、壁にゼロ距離まで近寄ってから再び遠ざかるまでの高速移動は本作でよほど気に入ったと思われる。サントラほしいな。

斜俯瞰のアングルにおける、ボックスと風景とのパース感の合い方がぴたっときてるのがすごい。
二次元世界の中に、勝手に三次元を作り出したお遊び。
自分の知る世界も箱に閉じ込められたぐらいの矮小な世界なのかもしれない。

THUNDERやGRIMなどで知られる日本を代表する実験映画界の名匠伊藤高志の作品。

おそらく今作は今まで見て来た伊藤高志の中で最も手の込んでいる作品の1つでした。いつ頃の彼の映画がよく分からないまま今作を鑑賞してみましたが、後から思えばやはりSPACYとTHNDERの中間とも言える新しいことを目指している感が強く、映像技法そのものがシンプルに凄かったです。純粋に見たことのないタイプの実験映画だったと思います。また、ロケーションのチョイスも素晴らしかったです。若干7分という尺が長く感じましたが、変にストーリーを付け加えることもなく実験要素だけで勝負していたのは好感が持てます。