よしまる

百円の恋のよしまるのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
3.4
 安藤サクラはエエで〜!と前々から友人に言われながら観たことがなかったので人気作をひとつ。

 冒頭からダメ女っぷりを発揮してくれるのかと思いきや、早織演じる妹やコンビニの面々、新井浩文のバナナマンボクサーなど、出てくる輩がことごとくポンコツすぎて、早々に主人公の一子こと安藤サクラが唯一のマトモ人間とわかってしまい少々期待はずれ。

 屈折したり狂気を帯びたような「アカン子」を勝手に期待していたのだけれど、ただ不器用でコミュ障気味なだけの「良い子」が次々と惨事に巻き込まれていくのは見ていてツライし、それが一念発起してスポ根に目覚めるのは自分にそのような適性がゼロなだけにどうにもついて行けなかった。てか、あまりに「ロッキー」なのでビックリしたくらいw

 ところで「ロッキー」や「あしたのジョー」といったスポ根が嫌いな訳ではなくむしろ好きなほうで、「エースをねらえ!劇場版」なんて何度観ても号泣するw

 ではなんでこの映画にあんまり感動できなかったのかと考えてみたら、前半と後半でまったく違う一子、それはもう安藤サクラを褒めちぎるしかないのだけれど、その変化の根拠に乏しかったということかもしれない。もともとマジメで仕事もできる子がなんであそこまで腐ってたのかは恐らく家族など環境によるものだろうけれどあまり描かれないし、そのせいでいくつも壁にぶつかりながら急にストイックになれたこともお話としてしっくり行かず、トレーニングシーンを重ねて無理くり説得されたように思えた。
 その証拠に、バナナマンの試合は場末のゴングがリアルに再現され(知らんけどw)すごくいい雰囲気だったのに、サクラの時にはスモークが焚かれパックライトで過剰な演出がされ、イカしたブルーズのBGMもいつしかオーケストラに。挙句スローモーションで感動押し売りなファイトが展開されるに至っては興醒めも甚だしく、なんで最後までキレキレで行ってくれなかったのか、非常に残念だった。ゴリゴリの底辺からの、凡庸で安っぽい人生応援ドラマみたいな演出の変化はいかにもダサい。さらに一子ほどのコがバナナマンにこだわり、ついていく理由が読み取れなかったのはボクの見方が悪かったのか…。

 言いたいこともわかる、安藤サクラすごい、ほんとならもっともっと高得点をつけたいのに、なんともモヤモヤの残る映画だった。