もっちゃん

滝を見にいくのもっちゃんのレビュー・感想・評価

滝を見にいく(2014年製作の映画)
3.7
見ていてクスクスと笑ってしまう、そんな絶妙な抜け感が沖田修一監督の持ち味。今作も爆笑とまではいかないが、思わず微笑んでしまう小ネタが散りばめられている。

「滝を見にいく」という目的のもと集まった7人のおばさんたち。一人一人キャラが立っていて、それぞれの人生が見え隠れする。山の中で迷うわけだが、それとは対照的に人生という「道」に迷っていたおばさんたちは道を見出していく、といういわば王道ストーリー。

オーソドックスなストーリー展開よりもむしろ今作はおばさんたちの一挙手一投足に注目するべきである。やたらと元気のいいおばさん、世間話が止まらないおばさん、太極拳にハマるおばさん、いろんなおばさんが見られる。
どのおばさんも一度は見たことあるような既視感に襲われる。そのたびに時にはクスッとし、時にはイラッとし、時には切なくなる。いわゆるおばさん映画というやつだ。

「滝を見にいく」という主旨がいつしか当初のものとは違う意味を持ち始めていく。てんでバラバラだった7人の意識が「滝」という目標に収斂されていく様は確かに一種の気持ちよさを感じる。
身近にいるおばさんを思い出しながら、笑いながら見るための映画である。