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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のエスのレビュー・感想・評価

4.3
''芸術家になれぬ者が批評家になり、兵士になれぬ者が密告者になる''

前知識を入れてなかったので、冒頭から、ブリーフのおじさんが宙に浮いてる???これまた大好物の超能力のお話か!と思えば、名声を追い求める俳優の生き様を描いた、ブラックユーモア満載でヘビーなヒューマンドラマでした。

カメラワークが凄くて躍動感たっぷり。照明や役者の動き等細部まで綿密に構成し、編集でも切れ目が目立たぬように繋ぎ、全編ほぼワンカット風に魅せている。自分もその場に居合わせてるような気分でした。

そして、その撮り方が役者の迫真の演技達をより活かしてる。各シーン本当に痺れたし何度も見返した。すんごい。

一世を風靡した人たちの行末と葛藤と、忘れられていくことへの唯ならぬ空虚感。熱意をかけたものに対して見もせずに批判する者たちへの怒り。そんな冷酷な世界での存在意義。

物語全体が舌鋒鋭い風刺となっていて、後半のバードマンの投げ掛けがまさに自分にとってド図星で鳥肌が止まらなかった。かといって、劇中に指摘された通りの娯楽映画大好きマンスタイルを変えるつもりはないけどね。

個人的にエマ・ストーンのパパへの感情大爆発も息を呑みながら観てた。脱帽です。

人からの評価が命取りにもなり得る演劇界で、''評価だけが全てじゃない''と訴えかける。そう感じた作品でした。
賛否両論ぱっくり分かれるのも含めて、この映画の一部なんじゃないかな。面白かったです。

また、提供されたものを観る側の自分としては、自分が好きと感じたものをとことん追求していきたい。それが演じる者創り出す者たちへの敬意へと繋がればいいなと、改めて考えさせられました。
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