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きみはいい子のdeenityのネタバレレビュー・内容・結末

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりの良作。公開時から気になっていたので見ておけばよかったと後悔。明らかに自分の好きそうな感じだったもんな。かなりストライクでした。

展開は3つの群像劇。それぞれ闇を抱えていて、虐待、障害、いじめ、モンスターペアレント等がテーマで、主観で言えば闇を抱えていると思ってないかもしれないが、自分の居場所を見つけられない人たち。冷ややかな目で見られる。

学校ではわがままな生徒や親に関わりながら周りの教員とも上手く連携が取れず、いじめや虐待の生徒も抱えて一人奮闘している気になってる高良健吾。
自分の虐待経験から上手く子どもに躾ができず暴力をしてしまう自分に自問自答しながらも、ママ友との交流を欠かさずに世間体を気にしながら生活する尾野真千子。
身内を持たずにボケ始め、周りに変な目で見られ始める喜多道枝と、そこで関わりができる富田靖子。
それぞれがそれぞれで大人としての責任感やら常識やら義務やらにとらわれながら生きている。

そんな葛藤や苦悶の中で彼らを導くのは子どもという輝き。本作ではそういった子どもの一瞬一瞬が切り取られ、絶妙に心に響いてくる。
仕事が上手くいかない時に「頑張って」と励ます子ども。「うちの子になる?」とママ友に聞かれた時に「嫌。」と答える子ども。仏壇にそっとお手玉をお供えしたり、母親が口ずさんだ歌を覚えている子ども。どれも子どもならではの無邪気さ、ピュアさが眩しくて温かい。

「家族に抱きしめられる」という宿題。実際あそこまでクラス崩壊させている先生自体に問題はあるが、あのアプローチとしてはよかったのだろう。自然な子どもたちの様を表現していた本作だからこそ、あの宿題後の感想はバラバラでも宿題を通してまとまっていた。
尾野真千子と池脇千鶴も然りだが、こういったテーマの作品を扱うのは難しく、答えが出ないことを指し示すのは賛否が分かれる。しかし、その中で、ストレートながらやはりそこが大切なのかもしれない、と思わせるような明確な答えを本作はぶつけてきた。それは意外と昨今の時代の流れで変化しつつある子ども像というものにも通用する普遍的な答えであり、改めて触れて温もりや愛を伝えることの大切さを実感できる作品だった。
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