会社員人生を終え悠々自適の老後生活を送るも、どこか心の穴を埋められずにいるベン。そんな彼がふと「高齢者向けインターン」の求人広告を目にして、というところから始まる話。
ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイ、世代の違う二人の主役にとにかく魅了される今作。デ・ニーロ演じるベンはなんというかアグレッシブで、まだまだ行動力の有り余ってる老人。持ち前の誠実な人柄と、これまでの人生経験や培ってきた洞察力、ユーモアなども交えて周囲に溶け込んでいく様が非常に魅力的。人間関係においてなんだか無敵のように見えて、じつは繊細な性格というのもしっかりと描写されていて、ここでは人間味を感じれたり。とにかくデ・ニーロの演技の素晴らしさを再確認。で、彼が働くことになる会社の女社長、アン・ハサウェイ演じるジュールズ。家庭を持ちつつバリバリ働く彼女だけど、プライベートと仕事に挟まれての苦悩や葛藤、その優れた才能の奥に隠されたある種の弱さなども見えたりする。この二人が互いを徐々に理解しつつ、世代を越えて影響し合っていくという話。まぁどちらかと言えばジュールズ側のエピソード寄りなんだけども、登場人物たちのやり取りやセリフなど、ハッとさせられるようなシーンが満載なのと、体にスッと馴染んでくるようなストーリーと展開の心地良さ、テンポ感も手伝って終始楽しい。
これは恐らく若い人から年配の人まで楽しめる内容なんじゃないかと思う。ジャンルとしてはコメディの様相で進みつつのヒューマンドラマという感じ。いずれにせよポジティブで心暖まる、自分を変える力と勇気を貰える、そして前向きな気持ちにさせてくれる、そんな良作中の良作。今作を見てハンカチ持っておこうかなってなったの、もちろん俺だけじゃないよね。途中不意に出てくる『オーシャンズ11』のくだり、最高に微笑ましくて好き。
