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もしも君に恋したら。のJIZEのレビュー・感想・評価

もしも君に恋したら。(2013年製作の映画)
3.8
"友達は恋人のはじまり⁉︎"...『ハリーポッター』シリーズのダニエル•ラドクリフ主演最新作or『(500)日のサマー』に続く甘酸っぱくてちょっと切ないラブコメディ,と予告PR上で事前煽りがなされてたので現在公開中『ホーンズ 容疑者と告白の角』の高評価ぶりもある為,新鮮な気持ちで今作の鑑賞に挑みました。ちなみにボーナストラックのインタビューでラドクリフ自身は「僕自身と似た役柄,文法を直す部分とかね!」自分自身でも役柄との相関はあると公言してたのでラドクリフの私生活を垣間見た印象を受けました。

今作一言で言えば,ひねりなしの王道をひた走るハッピー映画orデート映画なんですよね。万人受けする作品だと思いました。お話自体は,カナダのトロントを舞台に,姉一家と一緒に暮らし恋にトラウマを抱える元医大生の主人公ウォレスがある日,学芸パーティでアニメーターの女性シャントリーと知り合いその場で意気投合し互いに惹かれ合うがシャントリーには現在同棲している恋人がいてウォレスとシャントリーの関係性は友情の垣根を越える恋人に進展するか...というシャントリーの彼氏ベン視点で考察すればお仕事での遠征中に彼女を取られるという非常にブラックな作品だと思いますが,ウォレス視点とシャントリー視点の双方で一貫して描かれる為,茶目っ気たっぷり!ティーン要素!も十分に含まれ人間ドラマとのジャンル的にも正攻法を成す作品に思えました。ダニエルラドクリフは昨今辺鄙な役柄よりもこういった正統派を演じた方が俳優としてより様になると同時に感じ得た部分です。

お話自体の本質はウォレスがシャントリーに対し恋人ではなく友人として当初付き合いを頼み込み関係性がスタートする"繊細な距離感"だと思いました。要は"一方的な片思い"と"なんとなくな友情"から2人の関係性は始まる訳ですね。そこから色々あり2人の距離は縮まっていく訳ですが物語の推進力を促す原因はウォレスの"優柔不断ぶり"or"男気のなさ"だと感じました。優男なウォレスが壁にぶつかり過去の恋愛遍歴や信念を考慮しシャントリーと赤裸々に向き合う過程も初々しくもビターで苦味があり楽しめますね。元々奥手で真面目,慎重という主人公気質はロマコメ映画としても的を得る構成に思え要は登場人物に対し血が通うかどうかの出来不出来で評価が二分するポイントなんだと思います。ウォレスの頼りなさに呆れ親友アランが色々と恋愛掟8箇条を伝授したり海辺で2人の洋服を隠したりとサプライズを演出する訳ですが純粋過ぎるシャントリーの気質にはどうもそのサプライズが合わずベンとの関係性もあやふやな状態。軽快な会話劇もジョーク混じりで現代風と言うべき若者像を俯瞰的にメタ的投影を施すようにも感じ取れました。

他面白面では冒頭学芸パーティでシャントリーがウォレスに対し『貧血or色素欠乏症』と初対面で罵る不謹慎さやウォレスが1人でに文字盤ボードを遊戯し"Love is stupid(愛はバカ)"から"Love is stupid monckeys(バカな猿)"と哀愁漂う感じや。ウォレスと弟フェリストがホラー映画を鑑賞する作品のグロさ的やだみ。映画館でウォレスとシャントリーは同じ作品を偶然にも鑑賞し劇場出た際も見て見ぬ振りをするピュア感とか。レストランで会話する際に『商談ぽいね! ! ! !』と話す場面。洋服屋の試着室でシャントリーのジッパーを巡りドギマギするロマコメ映画特有のあどけない感。妹ダリアのウォレスを狙う姉シャントリーに向けた嫉妬感。ハッピー映画なので不謹慎さは前評した『フランシス•ハ』よりもすば抜け少なめに配されてるのですが,とにかくリアリティ表現を重要視したやりとりが潤的にも明瞭な世界観を映し出してたように思います。ニコールと親友アランの狂カップルの下りは全編カット候補に入れてもいい程に。ベンにドア前で真顔状態で殴られる描写が1番笑えました。

従い,劇中に登場するフールズゴールド是非食べたい!!ダニエルラドクリフが『ハリーポッター』の童心的イメージを払拭する為の本気は感じました。ウォレス家の屋根裏で円環的に繋げる着地も粋な構成だと思います。冒頭では失恋直後。ラストでは...な訳ですから対極感に注目です。原題『What If』も日本語で"~しませんか?"という勧誘の意味もあるみたいで鑑賞後に振り返れば小粋で洒落たタイトルだと思いました。結局は,笑あり!涙あり!感動あり!と最高のデートムービーな為,標準的一定以上の面白味は常担保されシチュエーションが変化する展開も劇中の2人同様に新鮮でした。ベランダから人を落としたりラドクリフが本気で殴られる場面など飛び抜けて笑える箇所も何点かあり昨今ダニエルのメジャー作品では垣間見えない自然演技も見所だと思います。平日の夜や休日の時間が空いた際にゆっくりと鑑賞する分には,お勧めです!!
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