あおや

ザ・ウォークのあおやのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
3.9
“Wire Walker=綱渡り師”

これはフィリップ・プティという実在する男の話である。その男は、当時世界一の高さを誇るビル【ワールドトレードセンター】のツインタワーにワイヤーを架け、命綱なしでそのワイヤーを渡りきった男である。その高さは411m、地上110階。

実にイカれている。

公共施設に無許可でワイヤーを張り、命綱なしで渡る。このいわば謎の違法行為(クーデター)を見せつけられるわけだが、見ている側はトップアスリートの挑戦を見ているような不思議な感覚に陥る。その挑戦にはもちろん命の危険が伴うが、彼は自ら望んでそれに挑んでいく。相応に精神も追い込まれていくが、勇気と強い意志を持って綱渡りに挑戦するのだ。

本当にイカれてる。

なにが彼を突き動かすのか、そこまでのリスクをとってまで無謀な挑戦を挑むのは何故なのか。それを通して何かを表現したかったのか。もはや常人には計り知れないところではあるが、彼が綱渡りのプロフェッショナルであったことだけは確かである。

もし私があんな話を持ちかけられたらどうするであろうか。そんなことを考えながら共犯者を集めていく流れをみているのも面白い。そして私自身も高所恐怖症なので、ジェフの気持ちが痛いほどわかる。あの高さと緊張感ある映像はとにかくこの作品の魅力である。

なにはともあれ、イカれてるよ。
あおや

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