よねっきー

レヴェナント:蘇えりし者のよねっきーのレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.6
自由を求めて車で爆走する『マッドマックス 怒りのデス・ロード』とは違う。死から逃れて生身で疾走する『アポカリプト』とも違う。この映画は走らない。傷だらけの腐った身体を引き摺って、ずりずりと前進するのが『レヴェナント』だ。

復讐のためにっていうより、「まだ死んでないから」という理由だけで前進し続ける物語のように感じられたな。生きることに最も近しいのはこの映画かもしれない。傷だらけでも、体が腐り始めていても、おれたちは死んでない限り息をし続ける。前進するのだ。

この監督ってやっぱり、出来るだけ映像をカットしたくない人なんだろうなあと思った。『バードマン』のときほど大胆ではないけど、アクションはできるだけひとつながりの長回しで撮ろうとしてたように思う。会話のシーンでも切り返しショットが極端に少ない。あまり映画をフレーム単位で考えてないというか、フレームの外側に広がる空間を見せたくて撮ってるように思えるんだな。

映像もすごいけど劇伴が良かった。弦の和音に重なる電子音。音楽は物語だ。おれたちは坂本龍一を忘れない。
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