Narmy

レヴェナント:蘇えりし者のNarmyのレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.1
白人であるヒュー・グラスは過去に開拓者であるフランス人??達に族ごと襲撃され、原住民の妻を失う。
その後ハーフの1人息子ホークを守り育てながら、毛皮を採っている開拓者達の道案内をつとめる。
彼らを砦まで案内する途中、原住民のアリカラ族に襲われる。

アメリカでの開拓者と先住民との争い。
それに加えて手付かずの大自然の脅威。
何が悪くて、誰が悪くないなんて簡単にはいえない。
序盤に残虐な襲い方で悪と捉えられた原住民達ももともとはこの土地で自然とうまく共存しながら、平和とまではいかなくても家族と共に幸せに生きていたのだろう。
原住民達も理由があって戦う。
どちらからの景色を見せるかで善悪は全く異なる。
原住民の目を観る度に心がザワザワする。
開拓者と原住民の関係もどんどん複雑になる。
そして復讐心も。
身にしみるのはグラスが息子を諭すときにいう“(白人は混血の)話は聞いてはくれない、肌の色しかみない”のところ。
ここに争いの原因の一端がある。

そういう難しい歴史を抜きにするとただただ凄まじいグラスの生きる力と雪に覆われた大自然に圧倒される。
どんな状況下でも生き抜く男の人はボロボロなのに魅力的だなぁ。
思いの強さがひきよせるのか、ギリギリのところで運を味方につける。
神が生かしたのだろうか。

そして、何より深いのは父性愛。
グラスだけではない。
原住民や獣に至るまで、戦うもの達は皆、子供を守るために立ち向かう。
守るべきものへの思いの強さが生命力の強さに繋がっているのか、、

未開の土地の針葉樹林。
下から見上げる景色は圧巻。
カメラにかかる息や血は、そうかこれは現実だったのかと思いおこさせる。

ラストの出会い、委ねられた神が宿る荘厳な山々の一瞬の静寂…
何ごともなかったかのような、全てが大自然に呑み込まれてしまったような…
そしてまた新たな争いが始まっていくんだろう。
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