カレナメコ

アンダー・ザ・スキン 種の捕食のカレナメコのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

2014年鑑賞

自分の中では、スカーレット・ヨハンソンのベスト。

どんより。ジメジメ。
湿度が高くて気温が少し低めな感じ。
1年中肌寒そうに見える土地。スコットランド。

1人のえらく肉感的な女が、車を運転しながら男を物色してる。
車に乗せて、少ない会話の中から、独り身っぽいなと判断したら自宅?山小屋?に連れ込む。

家に入って間もなく、女は服を脱ぎ始め、暗くてデカい浴室みたいなプールみたいな中に静々と入っていく。
男は、女の肢体と肌の誘惑に耐えうる訳もなく、引き込まれるように真っ暗な液体に身体を浸していく。

全身が液体に沈み、頭まできれいに潜り込むと、さっきの女じゃなくて、大きく膨らんだ全裸の男が液体の中を漂っている。

驚いて見つめていると、その男が「パンッ!」て、弾けた。
パンッ!つって皮一枚残して身体の中身が抜かれる。
ヒラヒラ。ペロンペロン。
ヒラペロン、ヒラペロン、て揺らぎながら、男の身体を覆っていた皮膚が液体の中を揺らいでいる。
中身は流れて、どこかへ運ばれていく…


これより前に、男型のエイリアンが人間の女を攫って来て、
そこに全裸のスカーレットが近づいてきて、服を脱がして着用するっていうシーンがある。
その映像も刺激的で神秘的なような、とても印象に残るシーンなんだけど、このスカーレットの身体が結構ダブついている。

1回目観た時は、スカーレット最初の登場シーンがこれだったので、初っ端から全裸なのかよ!の衝撃でクラクラしててこのダブつきを流してしまってた。


でも2回目鑑賞の時、この服を着る前にスカーレットは人間の女の「皮」を被って着用してるんだよね、と思い至った。
最後まで観ると、きっと皆そう考えると思う。

そうなるとこのダブつきは、「皮」を着用しているもとの女の皮下脂肪が厚かったせいなのか、
それとも他の生物の皮を被っているが故のサイズ合わずのダブつきなのか、
もしくは人間の男を誘うにはこれくらいの「隙のある肉体」の方が効率が良いと分析した結果の容姿なのか。

いずれにしても、この身体はスカーレットの役作りなんだよきっと!って勝手に思い込んでw、その思いで改めて観ていると、
感心と感動と欲情が同時に湧き上がって来て、ちょっとおかしくなりそうだったのをよく覚えているw


おかしくなりそうと言えば、エイリアンのスカーレットが人間のような感情を持つきっかけとなった人間の男。
『エレファントマン』と同じ「プロテウス症候群」を発症した男。
この男を演じた役者は、実際にプロテウス症候群におかされてる人だそうで。

彼とスカーレットのシーンは作中でも最重要のパーツだと思うけど、
ホントにどうやっても忘れられない強烈な印象を脳に焼き付けられたな~。


古城の跡なのか、何かの遺跡みたいな所を優しい男前と訪れているシーン。
今まで己の中に存在しなかった「感情」を認識してしまい、
畏れや不安や恋愛やらの感情が吹き荒れてスカーレットはとても不安定になっている。
知らない星で自我に目覚め、弱弱しくて、見た目が美しい儚い存在。
このシーンのスカーレットは堪らなかったよ。

男の部屋で行為が始まり、男の意志を感じたが、
それに応じられない身体であることを察知してガバァっ!と起き上がり、
ベッド傍のスタンドライトを掴んで引き寄せて、自分の股間を覗き込むシーン。

可愛いような切ないような怖ろしいようなシーン。
でもこれ観ると、大抵の人はきっと笑っちゃうと思うな。
上半身を起こしてスタンド引き寄せて股間覗き込むまでのスピードが尋常じゃないんだよw
なんか凄い勢いだったような記憶がある。


ラスト、結末としては良かったんだけど、やっぱヤな感じだったな~。
スコットランド人が嫌いになりそうだった笑

エイリアンにビビって逃げて、戻って来て焼き殺す、て。
何て奴なんだお前はよ。
スカーレットが何したって言うんだよ。
うん、まあ、そりゃ不気味だけどさ。
一見しただけでヤバそうなイキフン満々だけどねw

この映画、全体のストーリーはありきたりでよくあるやつなんだけど、映像が斬新で既視感が全く無かった。
それと無駄なセリフが1個も無くて、音楽も不気味で素晴らしかった。

何かの配信で出て来ないかな。もっかい観たい。
カレナメコ

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