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アナベル 死霊館の人形のrollinのレビュー・感想・評価

アナベル 死霊館の人形(2014年製作の映画)
3.2
まず死霊館の定義について考えてみたい。
1971年、シリーズ一作目の舞台となったハリスヴィルの邸を死霊館と称するのに誰も異論はないだろう。1977年、イギリス、エンフィールドのホジソン宅もまた然り。

しかし今作の「死霊館の人形」という邦題には些か納得し難い。
第一に、アナベル人形はハリスヴィルにもエンフィールドにも持ち込まれたことはなく、「死霊館の人形」とするならば、ウォーレン夫妻宅が死霊館ということになるし、仮にそうだとしても、今作で描かれるのはそれらの死霊館が出て来るより過去の話であり、何なら今作の主な舞台はマンションだ。
死霊館とはクローバー・フィールドのような座標を指し示すのだろうか??

物語的な整合性に務めるならば、『アナベル/死霊館に出て来たあの人形』とするのが(特に未見の)観客への配慮なのではないだろうか??‥しばし瞑想に耽るとしよう。

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さて上記の混乱が暗示するように、ジェームズ・ワンじゃない方のアナベルシリーズ一作目は、健闘してはいるものの、やはり本シリーズのクオリティには及ばない。
Once Upon A Time In Hollywoodなシャロン・テート殺害事件をなぞる前半の展開、カルト集団が悪魔を召喚する、といったプロットは意欲的で面白いし、扉の隙間から走って来る子供がチラッと見え、扉が開かれるとデッカくなってる演出はシリーズ随一の恐怖シーン。逆に言うとそれ以外はほぼ突然の音楽によるセコい脅かししかない。

本作を観た人が概ね感じるであろう、「そもそもそんな人形いらねぇよ!!」という想いを払拭することは困難で、実際のアナベル人形を見るとそれは尚更。
舞台としてのマンションの見せ方も巧くないし、白昼堂々その身を晒してくる悪魔のあまりの悪魔っぽさには失笑。劇伴も本シリーズとは違って節操がないし、今作のあんまりすぎるオチは脚本としても酷い。


‥‥だが案じることなかれ。
全てはシリーズ最高傑作である次作への布石だったのだ!!
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