鰯

聖者たちの食卓の鰯のレビュー・感想・評価

聖者たちの食卓(2011年製作の映画)
3.5
あらゆる差異を超えていただきます

インド、シク教の総本山ハリマンディル・サーヒブでは毎日10万食の食事が訪れた人々に提供される。ここでは性別も宗教も貧富もカーストも問わない。この食事を支えるのは膨大な数のボランティア。

とにかく多くの人々の慣れた「手つき」がじっくり映される。音楽もナレーションもセリフも全くなし。説明文も冒頭とエンディングのみ。そこにあるものを淡々と映し出す
一膳が供される過程をそっくりそのまま見られる。初めにじゃがいもを採る手。材料や調理器具を運ぶ手。から、数えきれない人々の下処理をする手。カメラ目線になっても手は止まらない
真面目な作りなのに飽きそうで飽きないのは、ふとした瞬間にいい表情が見られるから。運ぶ荷物を待ちながら談笑する人。玉ねぎを切りながら泣いてる人。

いよいよ食事の段になるととてつもない数の人が登場して混沌としているのにそれでいて整然としている。その間も配給する人、掃除する人の手は止まらない
片付けの段階もかなりの見もの。皿の回収に苦労する人。慣れた手つきで食事場を掃除する人。

一緒に食事を囲いたくなります、ごちそうさまでした
鰯