Jun55

沈黙ーサイレンスーのJun55のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.6
遠藤周作の原作は読んだことはないのだが、この作品に込めた彼の思いを理解した上で鑑賞した方が良いのだろう。
自らが葛藤した信仰、神の意味について奥深く問いかけるテーマであり、
これはキリスト教だけ問題ではなく、宗教全般、宗教と関わりのある人々全てに問われているテーマなのだろう。
登場人物の中でも最も重要な人物がキチジローで、遠藤周作は、キチジローが自らのモデルだとしている。
この映画はアメリカでも高い評価を得ているが、中近東等で宗教の名の下に多くの人が命を失う中、”同伴者の神”という概念が注目されているのかもしれない。

名監督Martin Scorseseの作品として安心して観ることができたし、日米キャストの演技も素晴らしい。
特に、キチジローを演じた窪塚洋介の存在がとても大きかったような気がする。(素晴らしい演技)

『沈黙』は史実に基づいた物語であり、江戸幕府によるキリスト教弾圧の実態、長崎のユニークな歴史を知る上でも観る価値はあるのだと思う。
キリスト教信仰という意味では、当時から今でも脈々と信者が受け継がれてきている事実も忘れてはならない。
ところで、「踏絵」というのは日本独自のものらしいが、アメリカ人はどう思っているのか、今度、聞いてみたい。
Jun55

Jun55