賽の河原

沈黙ーサイレンスーの賽の河原のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.6
クソ重い映画です。
ドーンと盛り上がるとこもないと言って過言ではない。劇中に音楽はありません。スコセッシのポップさとかテンポとかもあんまりです。(編集のテンポはうまいんだけど)
ただ、キーポイントになる場面で完全に無音になるシーン、まさに沈黙(silence)としか言えない場面があります。
よく「映画は映画館に行って観ないとダメだ」的な言説って聞くと思うんですね。それは、「劇場ならではの大画面の迫力」とか「身体に響く音響」とかが想定されていると思うんですよ。
でもね、この映画の「silence」を身体で浴びてくださいよ。劇場が無音になる圧倒的な圧の強さというものに恥ずかしながら初めて気づかされました。
この映画、確実にソフト化されてから観たら長いし退屈だと思うので劇場で観るしかないのでは。
ストーリー的にはキリスト教を頑なに拒む日本の役人の背景がなくて、すげー日本人野蛮じゃね?ってなるのが気になりました。今時の高校生だってサンフェリペ号事件やら26聖人殉教やら島原の乱はならうんだしさ。そこやってくれないとフェアネスは欠くでしょうと。
でも「外国人の描くニッポン」にありがちな「うーん、これ日本じゃないんだけどw」みたいなズレは殆んど皆無。スコセッシの原作への半端ない愛を感じます。
賽の河原

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