Kuri

沈黙ーサイレンスーのKuriのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.2
3時間弱の上映時間と、PG12の残虐描写と、難しそうなテーマに少し尻込みしてましたが、上映が始まってしまえば画面に引き込まれて時間を忘れてしまいました。

作品全体に抑えた演出が行き渡っていて派手な部分は微塵もないのに、なんでこんなに面白いのか、映画としての魅力に溢れてるのか。
観ながらも、観終わった今でも、その秘密について考えています。

持ち味の軽さが徐々に薄らいでいくアンドリューガーフィールドと、一つ一つの所作に複数の意味を込める浅野忠信、ユダとして振る舞う窪塚洋介と、救いをもたらす塚本監督と。彼ら含めた役者のアンサンブルが見事なことは魅力の一つであるし。
全く違和感ない江戸時代の風景にハッとしながらの画面の切り取り方がいちいち的確で、かつ時折驚かされてしまうし。

それらを全てまとめ上げてるスコセッシ監督の力量に改めて実感。
前作とは全く違う原作から、最後に残るのが"世間から負け犬と思われても心は折れなかった人の話"という同じテーマを掘り出してしまう強烈な作家性に感服です。

これは年間ベスト入り確定です。
Kuri

Kuri