粗忽者

沈黙ーサイレンスーの粗忽者のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.6
 これぞ傑作......
 重くて、長い話なのに、ずっと画面に集中できて、まるで時間の流れを感じさせません。それほどに映像の高級感が溢れていて、すべてのカットが美しく見える程です。

 最近、この作品の監督であるマーティン・スコセッシがMCU作品に対して若干厳しめな批評を下していましたが、この映画を観ると彼の本意が少しばかり伝わって来るように思えます。自分は原作である遠藤周作の「沈黙」は未読ですが、この映画を通してスコセッシ監督が伝えたかったテーマは明確に理解できます。信仰や宗教は人間に深く根付いた物です。スコセッシ監督はやはり人間について描きたいのだと思います。
 今作が描き出す信仰の形は現代社会においても普遍的なのであり、今まで自分が信じていた価値観を否定しなければならないという瞬間はきっとどこの誰にだって訪れる物であるはずです。その時どうすればいいのかは人それぞれであるとこの映画では語られているように思えます。
粗忽者

粗忽者